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ターミナル19~終着~

2013.11.22 20:15|仕事
「息子さんに連絡します」
Rさんはパタパタとドアを開けて出て行った。
「こっちは医者に連絡だな。」
社長もドアを開けて出て行った。
「私も準備を・・」
おたんこなーすが立ち上がった。

私はただ立っていた。

「miraさん!」社長の奥さんが大きな声で言った。
「miraさん!帰る時間よ!7時半よ!」
「あ」
「7時半よ、帰って夕飯作るんでしょう?子供さんが
待っているんでしょ。ほら、帰る時間よ!」

あ・・・そうか。
そんな時間。

私は早く帰らなくちゃいけないんだ。

「早く帰りなさいよ。ほら、ひどい顔して!」
「あ」
「いいから、ほら!後のことは私たちと夜勤でやるから!
ほら!遅くなっちゃうわよ!」
「はい。」
私は横たわっているSさんに言った。「お疲れ様でした。」
そしてゆっくりと頭を下げた。
社長の奥さん、おたんこなーす、私はその部屋を出た。

私は一階事務室に戻り、自分の荷物をとった。
社長とRさんが電話をせわしなくしているのが聞こえた。
「お先に失礼します。」
そう頭を下げると、社長もRさんも電話しながら私に頭を下げた。

自分の車に乗り込み、いつものように出発する。

何も考えなかった。
何の感情も浮かんでこなかった。


Sさんともう会えない悲しみとか
Sさんをきれいな状態で旅立たせることができた満足感とか

・・・いつも利用者さんも見送るときに湧き上がる
”私はあの方に精いっぱいのケアしたのだろうか?
もっともっとできることがあったのではないだろうか?”
という後悔に似た感情もなかった。

あの部屋の静寂のように
無の状態だった。
ただ、運転していた。


何度目かの赤信号で停車しているときに
自分の胸にたまっていた空気がふうっと出てきた。

「逝っちゃったんだな、Sさん」

自分の独り言に少し驚いた。


私は家に帰って、普通に夕飯を作り
(ホッケの塩焼きに野菜炒めに鶏肉とマカロニのトマト煮)
普通にテレビドラマを見て
普通に布団に横になった。

何も変わらない、いつもの、夜。

そして、いつものように眠った。
ただ、いつもより疲れていた。


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Author:mira
パートの介護職のへタレおばさん。
そして
ちょっぴりヲタクが自慢。
私の知識の80パーセントは
マンガからきています♪
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