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ターミナル17

2013.11.20 20:39|仕事
そして次の計測の時、全身チェックをし
ケアの必要性がないことが確認された。

はぁ・・。と大きなため息をつくと
Tナースは「miraさん、よくやったよー!」と
肩をたたいてほめてくれた。
多分、もう、ケアの山場は超えた。
あとは、計測と、全身確認と、記録だけだ。
時計を見る。16時半・・・長かった。
体力的にも疲労がたまっていた。

部屋は一面夕日色だった。
娘さんと息子さんは休憩室に行っていた。
私とSさんの二人きりになった。

ケアが終わったから、清拭をしようと思っていて
それがようやくかなった。
蒸しタオルを何本か用意して、
Sさんの身体をゆっくりと拭く。
グローブのようにぱんぱんにむくみ上がった右手は
うそのように、元の痩せたSさんの手になっていた。
そっとその手を取り拭いていく。

手の指先が冷たい。こちらの体温を奪うような冷たさ。
そして、白い。血の気の色がしない。
ろうそくのような色。

「ここ、痛かったんですよね。そっとやります。」
脇の下、お腹・・・どこも昨日まで痛みが激しくて
触ることすらできなかったところだ。
そこをそっと拭いていく。

そして、足。
靴のサイズが5Lにまでなったほど、ぱんぱんに
むくみきった足の甲は、今は、元のMサイズの足になっていた。
「そっと拭きますね。痛かったら言ってくださいね。」
いつものような声をかける。

冷たい。絶望的な冷たさ。
そして、血の気のない色。本当にろうそくのようだ。

「Sさん、これじゃ、寒いね。温かくするね。」
温かい蒸しタオルをあてる。
足の指、足の甲・・とゆっくりと拭いていく。
そして、Sさんがよく来ていた服に着替えた。

「お疲れ様でした。Sさん、痛みで大変だったでしょう。
本当にお疲れ様でした。」
私は頭を下げた。

これで、もう、私のやることはほとんどない。
Tナースがやってきて「私の最後の計測するねー」
と大きな声で言った「私、今日、17時上がりだから。」
「了解です~」
そして、いつものように呼吸数をカウントする
いち・・に・・さん・・・
「一分間に20。」
「BPは、上50、下計測不能。KTは35.7。
Pは・・40・・SPO2は・・もう、捉えられない。」

着実に、落ちている。
でも、下顎呼吸はまだない。
ということは、まだもつということか・・?

ナースと私は休憩室にいる息子さんと娘さんに
計測結果を告げた。
数値が下降していることを。
娘さんは「そうですか。」と私たちを見た。
「一度、ここを出て、外で休憩してきます。
それまで父はもちますかね?」
「何とも言えないですが・・」ナースは言った。
「じゃ、ちょっと、外出します。」
その二人はさっさと荷物を持って施設を出て行った。
いろいろな打ち合わせがあるのだろう、と推測した。

「とりあえず、私は帰るね。」Tナースは言った。
「miraちゃん、頑張ったよ!きょうはゆっくり休んでよ!」
Tナースは私の肩をぽんぽんとたたいた。
「うん、そうします。いろいろありがとうございました。」

あとは、何時何分か、という問題だけになっていた。
多分、もう、計測もできないだろう。
BPが40じゃ・・・SPO2が捉えられないなら
夜勤は水銀血圧計を使える人がいないから・・・
計測できるのも呼吸数とKTぐらいだ。
いつ、呼吸停止が確認されるか、の問題だ。

私がいる限りは、Sさんの呼吸を確認しようと思った。

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Author:mira
パートの介護職のへタレおばさん。
そして
ちょっぴりヲタクが自慢。
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