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ターミナル13

2013.11.16 19:31|仕事
「手足をさすってもいい??」
私はTナースに聞いた。ナースは少し笑って
「うーん・・・」
無駄な努力だと思うけど、という顔をした。
布団を少しずらして、Sさんの足を見る。
「浮腫が、消えてきてる・・・」
あの、パンパンに膨れ上がった足が・・
サイズが5Lにまでなった右足が、Mサイズに戻っていた。
もとの、痩せた足になっていた。
手足にたまっていた水分が出たのだ。

どんどん、病から離れて
自由になっていく。
そして・・・
何も手枷足枷がなくなって、本当の自由になるんだ。

Sさんの足を両手でさする。
冷たい。予想以上に冷たい。
普通の冷え性の足の冷たさではなく
こちらの体温を奪うような、冷たさ。
どんなに温かいもので触れても
決して温まらないような冷たさ。
全く「生」を感じられないような冷たさだった。

「Sさん、あと、4時間ぐらいしたら、娘さんが来ます!
それまで、頑張ってください!」
そういいながら足をさすった。
「血圧、上がってくれれば、いいんだけど。」
「計測、始めますよ。」

「血圧は上53、下、計測不能。KT 36.3.
で・・SPO2は・・95、いい数字。
miraさん、呼吸数を。Pは・・頸動脈で・52。」
Sさんの口元に耳を近づけて数える・・
いち・・に・・さん・・し・・ご・・
「一分間に30。」
「ほらね。」Tナースは私に笑った。
「手足さすったぐらいじゃ、何も変わんないよ。」
「そうだけど・・・ね。」
そうかもしれないけど、何か・・・
何か・・そう思ってしまう。
何か、Sさんに届いてほしい、と。
浅はかなのだけど。

「では、ケアをするので、息子さんは・・すいませんが
廊下でお待ちいただけますか・・」
「あ、はい、お願いします・・」
ドアを閉め、ケアに入る。
この状態だと、まだ、まだケアは必要だった。
Sさんを絶えずきれいにしておかなければ。
私たちも頑張るから、Sさんも娘さんたちが来るまで
このまま安定していてください・・・
お願いします。

「Sさん、娘さんがもう少しで来ますよ!
お孫さんも来ますよ!よかったですね!もう少しですよ!」
ケアが終わった後、私はSさんの耳元で叫んだ。
その時、Sさんの目から涙がつーっとこぼれてきた。
薄らあいている目が乾かないように反応しているのだ。
「Sさん、目が乾くから、閉じますね。」
私はSさんの瞼をそっと閉じた。
そして、ティッシュでそっと涙を拭いた。

きっと、人生、最後の涙だ。
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Author:mira
パートの介護職のへタレおばさん。
そして
ちょっぴりヲタクが自慢。
私の知識の80パーセントは
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