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ターミナル10

2013.11.12 21:23|仕事
私がSさんの計測を急いだのは。
Sさんの状態を
「ご家族が面会に来ても差し支えない」状態に
しなければならない状況だったからだ。
計測前にケアをすると、計測値が変化してしまう。
まず、計測、それからケア。
それが、30分おきに・・・
ケアが必要ない状態になるまで続けられる。

ご家族は、もちろん、最期の別れに面会にいらっしゃる。
もしかしたら、親戚もいらっしゃるかもしれない。
その時にSさんの状態が
「普通の感覚の人では、とても最後の別れを言えるような
状態ではない」であってはターミナルケアとは言えない。
当然のことだ。

水銀の血圧計をSさんのわきにおき、Tナースは
聴診器を自分の耳にあてた。
(自動血圧測定器ではもうエラーが出る状況だった)
「BP上68、下計測不能、SPO2は93、
KT36.6、miraさん、呼吸数お願い。
Pを頸動脈にて、52。」
Sさんの顔に耳を近づけ、片手に腕時計を持って数える。
Sさんの大きな呼吸がここにある命を感じる。
いち、に、さん、し・・・
「呼吸数一分間に35。」
「了解。」
そしてケアを始める。

「Sさん、ごめんね、ちょっと、動かしますね。
右手、右足が痛いんですよね。右のわき腹も痛いんですよね。
できるだけそっとやりますね。」
いつも通りの声をかける
そして、少しずつ、少しずつ動かす。
いつものはぁ、はぁ、というSさんの荒い呼吸が聞こえる
でも、いつもの「あ・・・あ・・う・・」という苦痛の声はない。
苦痛の表情もなく、ただ、荒い呼吸が聞こえていた。

その時、私は実感した。
Sさんは痛みのない世界に今いるんだ。
あれほど、痛い、痛い、と言っていたSさん。
今は痛くないんだ・・・。

よかった。
そんな風に思った。
不謹慎なのかもしれない。
でも、とても素直に思った。
痛くないんだ・・・よかった、と。
今まで、あのSさんの痛そうな苦しそうな表情を見るたびに
私たちはどうしていいかわからず
思いつく限りのことをするだけだった。
でも、今は。
痛くないんだ・・・・。
あの苦痛表情も苦痛の声もない。


ケアをしながら、昔読んだエッセイを思い出した。
ひどく昔に読んだから正確な文章は忘れたけれど。

「眠りたい人には、ベッドを。
死にかけている人には、死を。」

その言葉を今かみしめていた。



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Author:mira
パートの介護職のへタレおばさん。
そして
ちょっぴりヲタクが自慢。
私の知識の80パーセントは
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