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仙人さんのこと

2013.10.06 22:07|仕事
Gさんのことを書いてみる。
この前(7月12日)の記事に書いた仙人さんだ。
Gさんは、体のどこにも不調はないのに介護度4という、
かなりの認知症の方だ。

どのくらいの認知症かというと。
家族全員の顔、名前は全くわからない。
もちろん、親戚、知人もわからない。
食事がわからない。ふらふら~と歩き回り
手に取ったものを口にしていたから
座って何かをじっくり食べるということがわからない。
排泄もわからない。したい気持ちはわかるが
ふらふら~と庭に出て適当に済ませていたからトイレがわからない。
時間も気温もわからない。
外が真っ暗でも眠れないのだから昼だと思い
大声で楽しそうに歌っていたりする。
自分が暑いのか寒いのかも分からないので
季節に合わないとんでもない服を着ても全然平気。
汗がだらだら流れても、寒さで手がかじかんでも
その感覚の意味が分からない。

Gさんはいつもいつもへらへら~はっはっはっは~
少し笑いながら、施設の中をぶらぶら徘徊している。
♪おて~てつな~いで~の~み~ちをゆ~け~ば~♪
そう歌いながら。
そして、興味を引いたものを手に取ってぶつぶつ言って
はっはっはっは~と笑っている。
ただし、こちらの思い通りにしようとすると激しく怒る。
無理に入浴させたり、トイレに行かせたりすると
「なんだよこの!やめろよ!」と手を振り回すので
Gさんの機嫌を損ねないように、歌を歌ったりしながら
ケアを進めている。

某大企業に勤めている息子さんが何度か施設に来た。
「父は俺が何か言うとすごく抵抗するので
放っておいたら、何もかもわからなくなりました・・」
今年の1月、このGさんの奥様が自宅で亡くなった。
Gさんはそれに全く気が付かなかった・・・
離れて暮らしていた息子さんが訪れて発見したのだった。
息子さんはそのことをとても気にしていた。
・・私たちの目を。
”そんなになるまで父親を放っておいたの?”という
対外的な目を気にしている様子だった。
「実は、今、俺はあんまりお金がありません。
一番安い部屋で、一番金がかからない方法でお願いします。」
え?あんな、一流企業に勤めてて??
「俺の金は俺の金ですから。父に使いたくないんです。」
あまりのはっきりした態度にこちらが言葉をなくす。
「ここに父がいることは誰にも言ってません。できるだけ
誰にも言わないでください、お願いします。」

つまり。
一流企業にお勤めの息子さんにとっては、
この”激しくものがわからなくなった”父親の存在が「恥」らしかった。
もちろん、そう思うまではいろいろな歴史があるのだろうから
私たちは何も言わないが。
Gさんが何も感じないのが幸いだと思う。

ある日突然にこのGさんの「甥」だという人が面会に来た。
「こちらにGさんがいますか?ぜひ会いたいのですが!」
私たちは、躊躇した。
キーパーソンである息子さんから
「できるだけ誰にも会わせないでほしい」と言われていたから。
その甥御さんは熱心だった。
「息子さんに何度も何度も聞いて。ようやくここだと聞いたんです。
お願いします、お願いします、Gさんに会わせてください!」
社長と相談し、息子さんにも連絡し承諾を得て
会っていただくことになった。
「ただ、Gさんは、あなたのことをわからないかもしれません。」
そういうと、その甥御さんは笑って
「そうでしょう、たぶん。わかってます。
顔が見られればそれでいいんです。」

Gさんはその時、自由に徘徊して疲れて、
廊下に勝手にビニールシートを広げて寝ていた。
「おじさん、おじさん!」甥御さんは駆け寄った。
Gさんはめんどくさそうに甥御さんを見て
「なんだよ、眠いんだよ。あっち行けよ。」
「わかったよ。ひげもそって、清潔な服着て、爪も切って
少し太って、おじさん、よかったよ、よかったよ。」
甥御さんは涙声だった。
「うるせーな。」
Gさんは、ひじ枕をしてしかめ面をしながら目を閉じた。

「ありがとうございます。」甥御さんは私に頭を下げた。
「いえ、そんな、あの・・」
甥御さんは涙声で続けた。
「すごくいいおじさんでした。本当にいいおじさんでした。
小さい時から会うたびに声かけてくれて、可愛がってくれて。
あの息子がおじさんのことを見捨ててから、
おじさんがひどくなってしまって。
おじさんが不法侵入で警察沙汰になるたびに私が対応してました。
息子は・・”俺には関係ない”って・・。
施設に入って本当によかった。
あんな穏やかで人間らしいおじさんを見ることができて・・・。」

「これからもよろしくお願いします。」
そう頭を下げて、この甥御さんは去って行った。

しばらくして、Gさんが起き上がった。
「甥御さんに会えてよかったですね。」そういうと
「はぁ?なんだぁ?」Gさんは私を不思議そうに見た。
「Gさんはいいおじさんだったそうですね~」
「はっはっはっは~そうか?いいおじさんか?
そいつはいいな~はっはっはっは~」

♪おて~てつな~いで~の~み~ちをゆ~け~ば~♪
機嫌よく歌いながら徘徊しているGさんの姿が
すこし違って見えた。
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Comment

No title

仙人さんは幸せですね。
ボケてまで長生きしたくないというけれど、
ボケるまで長生きできるってやっぱり幸せなんです。

私は息子さんを責められません。
息子さんが薄情に感じはしますが、
miraさんが書いておられるように、
仙人さんと息子さんには長い歴史があって今があるんですよね。
甥ごさんは、関係が親子ほど密ではないので、
いいおじさんだった・・ということになるのかもしれません。

お年寄りの施設には、本当にたくさんの人生がありますね。

No title

あ、それから、リーガル・ハイ、面白かったですね!!
このまま小雪があっさり無罪になるなら、
前作よりパワーダウンだな・・と思って見てたら、最後どんでん返しで続く・・・
ですからね、最高にまた面白くなる予感ですね!

やられてなくても、やりかえすって、さすがです!!

まあ、やられてなくてやり返す気には、
あんまりなりませんが・・・

まあ、いいですよね!

宇宙人さん

そうですね~。
この方はいつもほっほっほっほ~って笑っていらっしゃるので
いろいろあっても、こうやって毎日笑っているのは
幸せなことかもしれないなーって思います。
宇宙人さんのコメント通り、私も、甥御さんには
いい関係のおじさんの記憶が強いのだと思います。
それでも、こうやって気にかけてくれる存在があるのは
この方にとっては幸せなのかもしれないですね・・。

実は、今日は(10月14日)堺さんの誕生日なのです。
祝40歳のはず・・。
すごく充実した俳優生活だと思いますが・・
昔から好きだったので、この忙しさを見ると
「体壊さなきゃいいけど・・」
と親のように心配しながら見守っております~
でも、あいかわらず、さいこーです!!
非公開コメント

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プロフィール

mira

Author:mira
パートの介護職のへタレおばさん。
そして
ちょっぴりヲタクが自慢。
私の知識の80パーセントは
マンガからきています♪
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